弱気の虫、撃退法

16 - 2001.07.21

 

プロ野球、投手の場合

 本日、始めて先発投手に起用された若手のA君。
ここのところ中継ぎで好投しているので監督が思い切って抜擢したのだった。その監督の期待にこたえて、素晴らしいピッチングで7回まで無失点。しかし、投球数も100を超えて、そろそろ疲れの出る頃だから監督が大事をとってA君をマウンドから降ろした。

「内の打線は3点取ってくれた。押さえ投手はしっかりしているからA君を勝利投手に導けるだろう」と、監督は考えたのだ。

 そこで、8回から投げることになった中堅のB投手。B投手は、投手陣の中でも信頼は厚く、先発、リリーフをこなす男だ。しかし、超一流ではない。

 B投手は考えた。
 「なんとしてもA君を勝利投手にさせなければ。後は、僕が絶対に押さえてみせる」

 8回の表、B投手はマウンドに立った。先頭打者にいきなり四球。
「おっと、いかんいかん。四球が一番いけないんだ」
次の打者にも粘られて四球。
「おいおい、何やってんだ」と、ベンチの声が聞こえてきそうだ。

「ランナーは1塁2塁だから、ここでホームランを打たれたらスリーラン。なんと同点になってしまう。同点ということはどういうことか。あんだけ好投したA君の勝ちが吹っ飛ぶということだ。それだけは絶対にいかん」
そして、投げた。こんど四球だと満塁になるからストライクからはいった。

「スッカーーン」
白球は、レフトスタンドに突き刺さった。
3対3の同点になった。A君の勝ちは無くなった。

 

 

プロ野球、野手の場合

9回の裏、2死満塁。
次のバッターは、4番のK選手。スコアは、2対3で負けている。
ここで打てばサヨナラで、今日のヒーロー。
打たなければ、ジ・エンド。

「4番の僕が打たなければ、
監督やチームの仲間、マスコミ、ファンはなんと思うか。
なんとしても打たなければ」

やっぱり、打てずにゲームセット。

 

 

馬鹿だったらよかったのに

どうして人間は、悪いことを考えてしまうのか。
いっそのこと、馬鹿だったら‘へん’な考えも起こらないだろう。
なまじっか普通の脳みそを持っているものだから、
「あーでもない。こーでもない。」と、考えなくてもいいことまで考えてしまう。

「ここで打たれたらどうしよう」
「打てなかったらどうしよう」
「会議でうまく発表できなかったらどうしよう」
「上手くスピーチできなかったらどうしよう」
「お客を困らせたらどうしよう」
「事業で大損したらどうしよう」
「恋人に振られたらどうしよう」
「苛められたらどうしよう」

しかもご丁寧に、その失敗の細部まで思い描いてしまう。

 

 

強気と弱気と

頭の中は、弱気な考えだけが支配しているわけではない。
時には強気になったりもする。

「大丈夫。普段どおりやればなんでもないさ」
「失敗したところでそれがなんだ。死ぬわけじゃないし」
「なんとかなるさ」

しかし、この強気も続かない。
ちょっと時間が経つと、また弱気のムシがやってくる。

 

 

脳裏をかすめるのはしょうがない

「悪いことは考えるな」
「成功したことだけを考えろ」

っていうけど、そりゃ−無理だ。
「考えまい」、と想うことは、すなわち、考えているということだ。

人間だから、悪いことを考えてしまうのはやむ得ない。
脳裏をかすめるのは仕方がない。
おそらく、人間の’脳’というものは、そういうものなのだろう。
悪いことを考えてしまうのは、自己防衛なのかもしれない。

まったく悪いことを考えずに、事にあたれる人間がいたとする。
結果、失敗した時は、物凄いショックを受けるだろう。

そのショックを和らげるために、’悪い結果’を用意しておく。
そうすれば、実際に結果が良くなかったとしても、ショックを軽減できる。
つまり、自己防衛だ。

 

 

しかし、考えすぎてはいけない

だからといって、悪いことを必要以上に考えるのは良くない。
悪い出来事をああでもない、こうでもないと、思い巡らすことが一番良くない。
自分に自信のない人は、この良くない考えにとりつかれている。
自分で想い描く悲劇の主人公は、滑稽でしかない。

そこで、この弱気心を考えすぎないコツを教えよう。

それは、脳裏をかすめたら一瞬にして打ち消すようにしよう。
たとえば、悪い映像が頭をよぎったら、
それを頭のスクリーンから外に出す。
あるいは、想像の刀でぶった切る。
もしくは、映像を紙のように丸めてゴミ箱(想像)に捨てる、など。

いずれにしても、一瞬でその弱気を打ち消そうとすることが大事。

そして次の瞬間に強気を思い起こそう。

「なんとかなる。命に別状はない」と。

 

 

悪魔の考えも同じこと

悪魔的な考えも一瞬で打ち消そう。

悪魔の考えに陶酔していると、いずれは悪魔になってしまうぞ。

 

 

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