”東洋の魔女”という幻想

10 - 2000.06.26

間違った認識−”東洋の魔女”

 ”東洋の魔女”と1964年から言われ続けた言葉。これが、悲劇の始まりだ。冷静に考えれば、東洋の魔女でもなんでもない。当時、バレーボールという競技を本当に知っていたのは、旧ソ連と日本だけ。たしかに、旧ソ連に勝ったのは凄いが、金か銀は当たり前だったわけだ。

 やがて、世界の各国がバレーボールと言う競技を知るようになる。パワー、高さに加えてテクニックまで覚えられたら、日本はなす術がない。つまり、日本がどんどん弱くなってしまったのではなく、世界がバレーボールを知りだしただけ。

 

誤った根性主義−”鬼のダイマツ”

 東京オリンピックで金メダルを取ったときの監督、ダイマツさんは、物凄く選手に厳しいことから”鬼のダイマツ”などと言われた。回転レシーブを発明した人らしいが、

「一日、3、4時間しか眠らずに練習をした」

などと言う根性主義が美化されたのだ。過ちは、この時から始まった。そもそも、スポーツ選手が4時間しか眠らずにコンディションを整えられるわけがない。この誇張された言葉を未だに日本は引きずっている。

「練習をすればするほど良い。人の二倍三倍練習すべきだ」

 バレーボールに限らず、このように間違った考え方をするスポーツ選手は未だにいる。東洋の魔女の立派な根性主義のあと、『巨人の星』や『柔道一直線』、『サインはV』など、スポ根(スポーツ根性マンガ)が大流行し、”根性”が如何に大事か、ということを我々は教わった。ちょうど僕が子供のころなのだが、現在の監督、コーチがこの世代にあたる。この根性主義のコーチを受ける選手は、あまりにも悲劇だ。

 ”休息も練習のうち”、ということを知らない監督、コーチが多すぎる。ハードな練習のあとには、十分な休息が必要なことは常識なのに。

 

年間、350日もボールに触れる女子バレー選手

 一年のうち、オフは十日足らずという。つまり、約350日は、練習か試合なわけだ。これでは身体の向上どころか、怪我を誘発しているようなものだ。

 

Vリーグが諸悪の根源

 大懸、満永、熊前、竹下、なかなかいいチームだったと思う。葛和監督もいい監督だ。しかし、いかんせん大砲がいない。苦しい時に決めてくれるエースがいない。モントリーオールの白井貴子以来、大砲不在の日本。なぜ現れないのか。その責任はVリーグにある。海外から大砲を呼んで、Vリーグを賑わす。観客動員のためか、盛り上がることは事実だが、スパイクを外人さんに頼るため若手が育たない。

 かつて、日本バスケットも同じような境遇にたった。社会人リーグで外人を導入していたが、選手が育たないということで外人枠を撤廃したのだ。このことにバレーボール協会が気づかない限り、日本バレーの明日はない。

どんな世界にも言えることだが、若手が育たないのでは衰退するのは明白だ。

 

 

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