あなたの周りにもいる自殺志願者

02 - 1999.8.22

Mさん「電車に飛び込んだら、どんなに楽になるか」
僕  「なに言ってんですか」
Mさん「ほんとだよ。こんな事が続くようなら死んだ方がマシだよ」
僕  「・・・・」
Mさん「俺が死ねば住宅ローンはチャラになるし、保険金も入るから
    家族も喜ぶよ」
僕  「・・・・」
Mさん「・・・・」
僕  「昔、テレビで見たんだけど、自殺を考えてる人がホームに立つと
    電車に吸い込まれるような気になるんですって」
Mさん「そうそう、そうなんだよ」
僕  「アブねぇーなぁー」
Mさん「ホームに立っていると、足が軽くなるんだよ」
僕  「・・・・」

 これは、昨年3月頃、僕がある準大手損保会社に出向している時に、実際に交わされた会話である。Mさんは、僕より二つ上の思いっきり忙しい課長代理であった。その忙しさは、一週間のうち家に帰るのは1、2度。それ以外は会社に泊まるのだ。勿論土日も出勤。Mさん自身の要領が非常に悪かったことも原因の一つであったが、あまりにも過酷であった。僕を含めて周囲の人が気を使うのだが、要領が悪くて、頑固で、仕事が雑で、人の意見を聞かなくて、お客にはものすごく腰が低くて、手におえなかった。そこで、愚痴を聞いてあげる人を徐々に呼び寄せて、何とか乗り切り、自殺しないですみ、今も何とか生きている。

 今思い起こしても、Mさんが自殺する可能性はあったと思う。それは、Mさんの上司である部長と僕の二人に自殺をほのめかしたこと。自殺志願者は、自殺をしたいという思いとは裏腹に、「助かりたい」という気持ちもあるのだ。その矛盾した思いが、気の置けない身近の人に「自殺したい」と打ち明けるのだ。(恐らく、近親者には話さないだろう)つまり、危険信号を発しているのである。「自殺したい」と打ち明けられたら、「助けてほしい」と言われたのと同じことなのだ。

 僕は首都圏に住んでいるが、「人身事故」を聞かない週はない。週に二三度聞く時もある。平均寿命が自殺者の影響で下がるとは。

 街金の超高利に手を出す人。サラリーマンやOLが手を出すのは、愚かの一言と言えるが、小さな会社の社長さんが、やむなく手を染めるのは分かるような気もする。それは、今までの汗と苦労で築き上げた城が、一回の不渡りで水の泡となるからだ。四畳半から出発して、一生懸命働いて、一時は年商数億、従業員数十名ほどにも成長して、やっとここまで来た。しかし、銀行の貸し渋りで資金繰りが行き詰まり、危ないとは分かっていても一時凌ぎと街金を尋ねる。僕のように適当に生きてきた人間が、会社を潰すのは、さして苦しいことではない。しかし、三十年近くも一生懸命働いて築き上げた会社を不渡りを出すことは出来ない。不渡りを出せばゼロになるのだから。五十路を過ぎてゼロになるのなら、いっそ死んだ方が・・・・。

 しかし、何故街金を取り締まらないのか?今では、トイチ(十日で一割)どころか十日で三割もあるそうだ。街金に限らず大手の消費者金融でも同じことだ。このゼロ金利政策時代に年30%弱の金利は高すぎる。銀行から3%弱で調達し、それを年3割で貸し出すのだから儲かって笑いが止まらないだろう。銀行は、一般企業には金を貸さないが、高利貸には貸し出す。これが日本の現状である。街金に関しては、また改めて講釈したい。

 

 

 

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