増え続ける失業者とホームレス

01 - 1999.8.9

 昭和30年代の終わり、東京オリンピックの頃、僕は小学生の低学年だった。よく上野へ行った。父親の実家が上野だったから。その上野駅の通路で僕が見たものは、「乞食」だった。その頃、「ホームレス」という言葉は無くて乞食と言ったものだ。乞食たちは、通路にゴザを敷き、ゴザの上に座り、缶カラを目の前においていた。そこに人々が小銭を入れるのだ。乞食は真っ黒な顔をしていた。父親がいて、母親がいて、子供たちもいた。当時の僕と同じくらいの少年少女もいたのだ。真っ黒な顔をして。そんな乞食たちが通路の端から端までいた。それが昭和30年代の乞食だった。

 僕が大きくなるにしたがって、上野からは乞食が消えていった。高度成長時代に入り、世の中が豊かになりだしたからだろうか。

 1980年代、新宿や池袋で見たホームレスは、メチャクチャ汚かった。髪は伸び放題で固まっていた。髭も生え放題、まさにボロを着て、紙袋を両手に持って歩いてた。ひたすら歩いていた。彼らが座っているのを見たことが無い。半径5m以内に入ると、プーンと匂った。よく病気にならないものだと思ったが、あれではウイルスやダニも生きてられまい。

 そして今、バブルが崩壊してから10年たち、新宿に増え続けるホームレス。彼らの中には、髪も切り、髭も剃り、まともな服装をしているものが少なくない。年配者だけでなく、三十代、中には二十代もいるかもしれない。彼らは何故ホームレスになったのか。何年か前、ある人が彼らにアンケートをとった。「今、一番ほしいのは何ですか?」 彼らのほとんどが仕事と答えたそうである。金ではない、仕事がほしいのだ。

 自民党と大蔵省の大失政によってこんなになってしまった日本。

 今後、どんなホームレスが現われるのか。昭和30年代のように、家族でホームレスになる人が現われても、僕は驚かない。

 

 

 

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