近未来予測

2004年5月号

5/7 日経平均 11,438円   TOPIX 1150p    1ドル=112.35円

 

4月の出来事 

 9日にはイラクで邦人が武装勢力に拘束され地政学リスクが高まったことに加え、前日の米国株安を嫌気した売りが先行し、全面安の展開となりました。 その後、無事開放されましたが、地政学リスクが高いことには変わりは無いでしょう。

23日には、ダイムラーが三菱自動車の支援打ち切りを発表し、スタンダード&プアーズ(S&P)等の格付け会社が長期会社格付けをB─からCCC─に引き下げました。 それを理由に23日の三菱自動車株はストップ安。 さらには、タイヤ脱落事故の一件で前会長らが逮捕。 結果、三菱重工等も値を下げました。

 4月初旬は、出遅れていた鉄鋼株が高くなり、凡その内需株はこれで一回りした感があります。 一方、店頭株は相変わらず好調で、店頭株指数は東証とは別の動きになっています。

 NYダウは、5月に入り弱含み。ナスダックは、2000Pを割り込みました。 ドル円は、3月末の103円40銭を底に円安方向へ。 また、中国は、景気過熱感から金融引締め策に。それを皮切りに、株は4月に急落。 特に去年2.5倍にもなったH株が4000ポイントすれすれまで落ち込みました。

今後の予想

 懸念されるのは、米国と中国。 米国の金利上昇、中国の金融引締め、ともに株にとっては悪材料になります。 NYダウ、ナスダックともにチャートが悪く、このままそれぞれ1万ドル、1900ポイントを割ってこれば、かなり雰囲気が怪しくなります。 

 日本の景気は好調のように思えますが、米国、中国がもし失速すると流石に日本もそれに倣(なら)ってしまうでしょう。 以下、中国の経済が曲がり角に来たと力説する 長谷川慶太郎さんの『動きを追う』 から

過熱防止に打つ手求め
世界最大の成長率を誇ってきた中国経済の前途に、強い注意を払う必要が表面化してきた。高度成長に自信を強めてきた中国政府も、余りの無政府状態から生ずる混乱を収拾するには、一時的な経済の収縮を覚悟して、景気の過熱を抑えるための強硬措置の導入は止むを得ないとの判断に傾いた形跡がある。その具体的な手段として金融引締めを断行する前提として、一時的な新規融資の停止を実施する方針に踏み切った気配が強まった。


  新規融資停止
中国の連休が明ける5月6日以降、中国政府は全ての新規融資を暫定的な措置として停止すると発表した。この措置は金融市場の中核を構成する国立四行以外の民間銀行に適用される。既にこれらの民間銀行はこの政府の措置に応じて全面的に新規融資を停止することになった。中国政府が景気過熱防止を目的にこうした措置を講ずるのは初めてである。その効果の程は全く予測出来ない。また中国の金融市場で最大の規模を持ち、中国経済の資金供給の最大部分を負担している国立四行が、一体どういう政策をとるのか、全く明らかになっていないから、中国政府のとろうとしている金融引締め政策の範囲も、規模も一向に内容が明示されておらず、従ってその影響も正確に判断のしようがない。ただはっきりしているのは、これ以上中国経済の過熱状態を放置しておけば、その反動として中国経済全体に大混乱が発生し、それがさらに政治の混乱に広がる危険が極めて大きくなる恐れを中国政府、中国共産党の首脳部が、強く感じ始めたのははっきりしている。中国経済の曲がり角が到来したのである。

(毎月月初発行)

 

過去の予想記録

 04年4月 04年1月 03年1〜12月
 
02年7〜12月  02年1〜6月 01年7〜12月  01年1〜6月
 
00年7〜12月  00年1〜6月 99年7〜12月  99年1〜6月

 

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by
羽柴孔明