近未来予測

2000年1〜6月号

 

2000.1

 

今年の予想

「二極化の終焉は、急上昇したものが下がるか、低迷しているものが上がるか、どちらかしかない。今回はどうか。後者の可能性が高いと思う。実はこうした展開は86年に同じような例がある。このときはバブルの初期で不動産や電鉄などの株価が急騰し、翌87年、相場は横に広がりを見せ市場全体が上昇した。」

 上文は、日本でも最も人気のあるエコノミストのひとり、ピーター・タスカさんが週刊ダイヤモンド新春特別号に乗せた一説です。私もタスカさんの信望者で、特に『不機嫌な時代』は何度も読み返しました。ただし、経済のプロといえども相場のプロとは限りません。今回のタスカさんの予想は、外れる公算が強いと思います。以下が私の予想です。

 情報通信株は、引き続き堅調。今年はマザーズやナスダック・ジャパンなど公開ラッシュになるので、そちらに資金が回り、低迷している内需株まで回らない。ただ、ソフトバンクがいつまでも上がるわけではなく、それに代わる銘柄が出現する。つまり、IT株内で広がりを見せる展開になるだろう。しかしそれも、NY株が暴落するまでの命だ。NYが暴落すれば東京も調整を余儀なくされるが、その調整が終わりしだい低迷している内需株に日が当たりだすだろう。結局、二極化の終焉はNYあるいは東京が暴落したとき以外に考えられない。尚、百円を切っている銘柄はよっぽどのことがない限り2桁のままだ。

 人間の予想は、知らず知らず自分に有利なようにしてしまいがちです。情報通信株を持っている人は、情報通信株が今年も強いと予想し、持ってない人は、タスカさんのように今年こそ内需株の出番と予想します。客観的に予想できる人は滅多にいません。ただ一つ言えることは、NYも東京もネット株が上がりすぎているということです。上がりすぎた株は、必ず強烈な下げがあります。ネット株といえども例外ではないと思います。暴落に備えて、キャッシュポジションを高めにしておくことが重要と考えます。

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注目銘柄−富士通、ミネベア、新日鉄

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追伸

 去年の正月時点での予想とその結果、及び自己評価をしてみたいと思います。ワタクシは、エコノミストや各シンクタンクのように予想しっぱなしのような無責任なことはいたしません。(^、^)

 

1999予想

結果/評価

ずばり強いと思います。今まで見放してきた外国人が日本の株に注目しています。それでも天井はせいぜい17,000円でしょうから、焦らずじっくり行きましょう。

去年は13842円からスタート。19000円まで行きました。まずまず当たりですね。去年の正月の時点で19000円を予想した人なんかいませよ。1万円を切ると予想した人はいましたけどね。ハッハッハッハ。

為替

まったく分かりません。しかし、評論家の多くが円高ドル安を予想していることから、円安気味になるかもしれませんね。

去年の今ごろは115円台。年央には120円台まで下げましたが結局円高に終わりました。これは評論家たちが当たりました。珍しい。

土地
マンション 

厳しいでしょうね。確かに税制面でかなり優遇されることになりましたが、金利の上昇で強弱感が相殺されてしまうことでしょう。尚、一戸建て、マンションを買おうと思っている人に一言。今が底値かどうかを考えるのはまったくのナンセンスです。無理の無い返済ができるかどうかが問題なのですよ。

土地は相変わらず下がっています。また、マンションの契約率も金利が上がってから70%台に落ちています。

野球

セ・リーグは中日のような気がするなぁ〜。

中日を当てた人は多いでしょうね。ダイエーを当てた人は凄い。

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2000.3

二月の動き

 NYダウが1万ドルを割り込みましたが、ナスダックの落ち込みがほとんどないこともあり、東京は動ぜず。NYと東京は切り離された感があります。『NYが調整し、東京が上げる』という投資家にとっては最高のシナリオになりつつあるようです。(いずれネット株が暴落するという考えは不変)
 個別的には、宝酒造、明治乳業、協和発酵などのバイオ企業の強さが目立ちます。また、相変わらずソニーが強いですね。

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三月のゆくえ

 NYは、1万300ドルを挟んだBOX相場、東京の低位株は底値圏でのBOX相場、日立や富士通などのハイテク組みは高値圏でのBOX相場になるでしょう。ハイテクバイオの中で、強い企業が散発高するはずです。また、仕手株も時々賑わうでしょう。つまり、全体的には低調で特定の企業のみが高くなる傾向は当分続くでしょうね。再三言いますが、二桁銘柄は超ウルトラミラクルがない限り十年経っても二桁のままですよ。

 ご存知かと思いますが、NYダウ、ナスダック指数が高いのは、ハイテクとバイオに支えられているからです。他の業種は、日本と同じく惨憺(さんたん)たるありさま。一部投機家たちがアメリカ株を売って日本株を買う、などと伝えられていますが、仮にそうであったとしても日本のハイテク、またはバイオに手を出すのみです。彼ら投機家は、低迷しているものには絶対手を出しません。

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2000.4

三月の出来事

 一時、日経平均500円下げの日もありましたが、その後堅調に推移し、二万円を回復。NYダウも落ち着いた動きになり、またしても事無きを得ました。
 上げたところは、キリンビバレッジ志村化工トーカイ、またNECは富士通に追いつき、武田、安川電機、トヨタ、ファーストリティリングも高値を追う強い動き。
 一方下げたところとしては、宝酒造、任天堂、ナムコソフトバンクフジテレビ、TBS、日テレのテレビ株。また、ラウンドワン、光通信、トランスコスモス、Fsasの下げがきつく、CSKにいたってはまさに『往って来い』となりました。

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四月のゆくえ

 先月に引き続き特に大きな変化はないと思います。個別に材料の出た銘柄が散発高するでしょう。内需低位株が本格的に上げ出すのはまだ先だと思います。そして、ソフトバンクは終わったと思います。

 ソフトバンクCSK、光通信などの急落で去年大儲けしてほくそ笑んでた人も、株の怖さを思い知ったことでしょう。大事なことはさっさと売って、二度と手を出さないことです。たとえばCSKは、高値17000円の半値8500円で買った人もいることでしょう。しかし、下げ止まらず、3/31には、4800円。今後は、4千円台、3千円台の地べたを這う展開となるでしょう。少なくとも十年は高値を抜くことはできないでしょうね。株なんてそんなものです。

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タイガーファンド破たん

 米ヘッジファンドの超大物のひとり、ジュリアン・ロバートソンが主宰するタイガーファンドが破たんした。ジョージ・ソロスのクォンタムファンドとともに、世界をまたにかけてきたのだが...。
 ジュリアン・ロバートソンは、「利益も上げていないハイテク株が高騰するのは、崩壊確実な砂で作ったピラミッドにすぎない」と、一切投ぜず、オールドエコノミー株を買い集めたのが敗因のようだ。
 ロバートソンは、80年にタイガーファンドを設立し、96年には50%利益、97年にはアジア通貨危機で、各国の通貨を売り浴びせ72%ものパフォーマンスを出し、ソロスのクォンタムファンドより上と騒がれたほどだ。素人の熱狂相場にプロが負けたと、報道されている。(4/1読売新聞朝刊より)

 

2000.5

四月の出来事

 四月はNYダウ、ナスダックの急落もあり、日経平均で2千円以上も下げる月となりました。また、日経平均銘柄入れ替えに伴うテクニカルな動きも手伝い、不安定な一ヶ月でした。
 上げた銘柄は、日本ハム、加ト吉、日本電気硝子、デンソー、ウシオ電機、本田技研、アデランス、住商リースが堅調。第一薬、藤沢薬、萬有製薬、中外製薬、エーザイの薬品株が上げ、中でも久光製薬が大幅高しました。、日立化成と安川電機、ファーストリティリングも相変わらず強く、イビデン、和泉電気が戻しました。TDKやミツミ電機、太陽誘電、KOA、HOYA、キャノンが上場来高値を更新しました。こうして見ると上げているところはしっかり上げています。
 下げたところは、伊藤園、志村化工、キーエンス、村田製作所、NTT、ドコモ、NTTデータ、トランスコスモス、日本ユニシス、日立情報、住商情報、今までズーッと強かった古河電工が下げ、富士通関連、証券株、東宝が下げました。

五月のゆくえ

 急落の懸念は払拭され堅調に推移するでしょう。しかし、今後どの方面が買われるのか、しっかりと見守っていく必要があります。とは言うものの、テーマで買われる時代はとっくに終わり、強い企業が今後も買われていくはずです。どの業種であれ、強いところが高くなり、弱いところが安くなる。では、どこが強い企業のなのか?それは、買われる企業です。「株は株価に聞け」ということです。

US−MMF

 皆さんはドル建て預金やMMFをしていますか?私は、総資金の約5%をドル建てMMFにしています。もちろん為替リスクがつきまとうわけですが、長い目(5年から10年)で考えれば良い投資だと思います。今、ドル建てMMFは、年5%強の利回り。仮に1万ドル持っていたとして、十年持ちつづけると、約16,300ドルになります。現時点で1ドル107円、十年後に最悪の80円になっていたとしても、

  現在  : 1万ドル x 107円 = 107万円。

  十年後 : 16,300ドル x 80円 = 約130万円。

  約2.2%の年利回りです。

 最悪の1ドル80円になったとしても、2%強の利回りがあると言うことです。たった2%ではつまらないですか?しかし、これが投資というものなのです。ほんとは。

 

2000.6

五月の出来事

 四月に引き続き五月も日経平均で約二千円下げました。ナスダックの急落を受けた感じが強いのですが、ナスダックよりも日本のハイテクは下げています。特に光通信が下げ止まらず、高値の約50分の一まで下げました。CTCやアルファシステムズ、ミツミ、松下通信、村田製作所、ナムコ、ユニシスなどハイテクはかなり安くなりました。また、アコム、トヨタ、本田技研、スズキ、東天紅、セブンイレブン、イトーヨーカ堂が下げました。やはりこうして見ると、上げすぎたところがもとのさやに戻った感があります。

 逆に上げが目立ったのは、四月にも上昇した久光製薬。マツモトキヨシが上場来高値を更新。石川島播磨重工が高くなりましたが出来高は大型株にしてはそれほど伴ってません。また、東京ガスが堅調でした。


六月のゆくえ

 NYダウ、ナスダックが落ち着いてきたこともあり、とりあえず危機を脱したと思います。しかし、ダウ、ナスダックともに『底』にとどいてないことから、ふたたび暴落する可能性を残しています。夏ごろに本当の暴落がくるかもしれません。ナスダック株もいずれは光通信のように高値の何十分の一になる企業も出てくるでしょう。
 株というのは、大底をつけないと上昇過程に入るものではありません。日本は98年の10月に大底をつけているので、今回のような調整はあるものの日経平均の大暴落は考えられません。(個別銘柄ではありうる) しかし、十年以上にわたって上昇しているNYダウ、ナスダックは、いつかは転換期が訪れるものです。今回の調整は、相場の転換点だったのか、あるいは上昇過程のたんなる調整だったのかはいずれ分かるときがくるでしょう。



1990年の日本

 1990年、今から十年前ですが、この年からバブルの崩壊が始まった。まず、2月3月に日経平均で1万円近く(25%)下げ、4月からは持ち直したものの、8月にイラクがクウェートに侵攻したのをきっかけに暴落が始まる。その年の10月には、89年の最高値39000円の約半分の20200円まで下げる。その後一昨年までの約十年間、日本の株式市場は下げ相場を形成した。

 

過去の予想記録

 99年7〜12月  99年1〜6月

 

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by
羽柴孔明